カスタマーサポートとは?

カスタマーサービスと似ていますが、カスタマーサポートには固有の課題とベストプラクティスがあります。

今日のようなデジタルでのやり取りと一対多のコミュニケーションの時代には、ビジネスの人間的な面に目がいかなくなることもあります。しかし、オーディエンスの規模がどれだけ大きかろうと、チャネルの数がどれだけ多かろうと、結局は、顧客と「個人」レベルでどれだけうまくつながれるかがビジネスの成功を左右するのです。

2018 年の Gartner のレポートでは、企業の 3 分の 2 以上が主にカスタマーエクスペリエンスで競っていることが明らかにされています。同時に、調査によれば、本来避けられるはずの解約によって米国企業は年に 1,360 億ドルを損失しています。

言い換えれば、ポジティブなカスタマーエクスペリエンスを提供することが絶対に不可欠になったということです。そしてカスタマーエクスペリエンス管理への効果的なアプローチの主な要素は「カスタマーサポート」です。
ここではカスタマーサポートについて、その詳細や課題、そして優れたエクスペリエンスを顧客に提供するための使い方をご紹介します。

カスタマーサポートの定義

カスタマーサポートとは、基本的に、特定の製品やサービスの技術的な問題や課題について顧客が解決するのを支援するために作られたサービス、ツール、行動、戦略のことです。カスタマーサポートには最初の計画と導入、トレーニング、トラブルシューティング、メンテナンスなどがすべて含まれます。

カスタマーサポートで重要な役割を果たすことが多いのがコンタクトセンターです。製品に問題があったときや正しい使い方を詳しく知りたいとき、顧客は頼りになるサポート担当者を求めて企業のコンタクトセンターに連絡を取ります。顧客は自分から電話をかけて、サポートエージェントと 1 対 1 で話すことができます。エージェントは顧客にトラブルシューティングプロセスを案内し、問題の解決を支援します。

その他のカスタマーサポートチャネルには次のようなものがあります。

  • ソーシャルメディア
  • メッセージングアプリ
  • ライブチャット
  • メール
  • フォーラム/メッセージボード
  • オンページサポートウィジェット
  • オンラインセルフサービス

これらのオプションにはそれぞれ対象範囲、可用性、使いやすさ、コミュニケーションの有効性といったメリットがあります。成功している企業のほとんどはカスタマーサポートオプションを 1 つや 2 つに絞っていません。マルチチャネルサポートなら、顧客がどこにいても、どんな方法で連絡を取りたくても、万全の態勢で受け入れて支援することができます。オムニチャネルサポートはこれをさらに進化させたもので、利用可能なサービスチャネルをすべて接続し、エージェントが自由に関連情報を共有できるようにすることで、よりシームレスなカスタマーエクスペリエンスの提供を促進します。

カスタマーサポートの進化

百年ほど前までは、事実上、店と言えば近隣の店に限られていました。ほとんどの人は地元で買い物をし、製品やサービスに問題があれば単に店を再訪して店員と話をするだけでした。

しかし、規模の大きい会社がより多くの地域へと展開し始めるにつれて、カスタマーサポートの必要性も高まりました。同時に、電話のような新しいコミュニケーションテクノロジーにより、顧客が直接店に連絡して問題の解決策を見つけられるようになりました。

1960 年代には初期のコールセンターが登場し、カスタマーサポートの大規模管理がさらに効率的にできるようになりました。通話料がかからないフリーダイヤルの登場も相まって、コールセンターはカスタマーサポートの望ましい形としての地位を確立しました。

70 年代から 80 年代、90 年代に至るまで、さまざまな新しいテクノロジーがカスタマーサポートに革命的な変化をもたらしました。音声自動応答 (IVR) と電話ツリーによって限定的なセルフサービスが可能になり、オンサイトコンピューターソフトウェアを利用したヘルプデスクによってエージェントは重要な情報を迅速に取得できるようになりました。家庭用インターネットテクノロジーの登場により、電子メールから始まり最終的にはライブチャットに至るサポートオプションが生まれました。そして 2000 年代になると、カスタマーサポートソフトウェアとオンラインでのサポート/フィードバックチャネルが爆発的に増加しました。

今日、私たちはカスタマーサポートの黄金時代に生きていると言えるでしょう。しかし、サポートのオプションや機能が豊富になるにつれて、カスタマーサービスとカスタマーサポートの境界はあいまいになりつつあります。

カスタマーサポートとカスタマーサービスの違い

カスタマーサポートとカスタマーサービスには重複する部分が多くあります。どちらも、カスタマーエクスペリエンスで重要な役割を果たし、信頼性の高いコミュニケーションに依存し、顧客維持と顧客ロイヤリティに影響を与えます。しかし実際には、カスタマーサービスとカスタマーサポートは同じではありません。

カスタマーサービス
カスタマーサービスという言葉は範囲が広く、企業と顧客のやり取りの大半が含まれます。顧客の期待に応え、カスタマーエクスペリエンスをポジティブなものにするためのあらゆる行動とあらゆるリソースもその一部です。企業との取引に関心のある顧客に提供する支援とアドバイス全般を指します。

カスタマーエクスペリエンスは、一度で終わるようなタスクではありません。企業と見込み客とのファーストコンタクトから始まり、購入やそれ以降の顧客リレーションシップ全体にわたって続くものです。

カスタマーサポート

カスタマーサービスがあらゆる顧客向けサービスを包括するフルセットだとしたら、カスタマーサポートはそれに含まれるサブセットです。顧客の期待に応えることやポジティブなカスタマーエクスペリエンスの推進にも重要な役割を果たしますが、主な目的は問題に対してソリューションを提供することです。

カスタマーサポートはカスタマーサービスよりも短期間で、明確な始まりと終わりがあります。一般的に、まずは顧客が自分では解決できない問題に直面します。その解決策を求めて、利用できるサポートチャネルを通じて企業に接触します。そうしてサポートエージェントの支援やセルフサービスサポートリソースによって問題の解決策が見つかったら、次に支援が必要になるときまで、実質的にカスタマーサポート関係は終了です。

カスタマーサービスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサービスの方がより広い範囲を指す言葉ではありますが、ビジネスの成功にとってはカスタマーサポートも同じくらい重要になっています。その理由の一つに、ネガティブなカスタマーエクスペリエンスに対する最後の砦として機能することが挙げられます。また、製品やサービスが複雑になればなるほど、顧客はサポートを必要とします。そして顧客が直面する問題が多ければ多いほど、顧客はエクスペリエンス全体の質が低いと感じてしまいます。

今日、顧客の期待はこれまで以上に高くなっています。今の顧客は知識があり、自信を持ち、他に選択肢がたくさんあることを知っています。ネガティブな体験をすればためらわずにその話を他者と共有するため、元々の顧客との関係性をはるかに超える風評被害が起きる可能性があります。

顧客は問題に直面すると企業のサポートチャネルに解決を求めます。迅速に、便利でわかりやすい方法で解決できれば、企業にプラスの感情を抱く可能性が高くなります。今後もその企業と取引をしたいと思うでしょうし、友人や仲間に勧める可能性もあります。

言い換えれば、カスタマーサポートは、損害が出る恐れのある問題をポジティブなサポートエクスペリエンスに変える大きなチャンスだということです。また、カスタマーサポートの対象となる問題の根本原因を特定し対処することで、以降の顧客により良いエクスペリエンスを提供できるようにするチャンスでもあります。

ビジネスの成長にはさまざまな要因がありますが、根本的には、顧客がすべてです。製品やサービスに満足していて積極的に関わってくる顧客は、通常、より多くのお金を使い、より長く取引を続けます。同時に、企業は製品の改良や意思決定のために率直な顧客フィードバックを必要としています。

効果的なカスタマーサポートはこうしたニーズを満たします。顧客が最もサポートを求めているときに期待に応えるとともに、率直な評価や批判を収集してイノベーションの推進につなげる手段になるのです。

サポート部門が直面する主な課題の 1 つは、ネガティブな体験をポジティブな体験に転換させることです。サポートに問い合わせてくる顧客は、その時点で不満を持っている可能性が高いでしょう。ただ問題を解決するだけでなく、カスタマーエクスペリエンス全体をポジティブなものにできるかどうかは、サポート部門にかかっています。

不満を持っていたり怒っていたりする顧客に対応し、関係性を復旧させるのは、非常に骨の折れる仕事です。忍耐と相手への共感、そして自社と製品に対する深い理解が必要になります。また、適切なツールとサポートソフトウェアも必要です。

その他のカスタマーサポートの課題には次のようなものがあります。

  • 情報サイロの解消
    自動化されたシステムやエージェントとの対話を経て転送された顧客は、転送先のエージェントが事情を把握していることを期待します。しかし、複数のチャネルのエージェントたちがリアルタイムで顧客情報にアクセスできない場合、顧客は何度も状況の説明を強いられることになります。

    これは顧客にとって非常にストレスを感じる体験です。企業は、サイロを解消し関係者全員が同じ最新情報にアクセスできるようにするために、統合されたカスタマーサポートシステムの構築に努める必要があります。
  • 複数のサポートチャネルの管理
    カスタマーサポートをマルチチャネルにすることで、顧客はいつどこにいても必要なときに企業とつながれるようになります。しかし、複数のチャネルを管理するのは面倒な作業になる可能性があります。真のオムニチャネルサービスを提供するには、単一のプラットフォームを介してすべてのチャネルに対応できるサポートソフトウェアをエージェントに使わせる必要があります。

  • ケースの優先順位付け
    顧客は皆自分の問題が最も重要だと思いがちなので、カスタマーサポートチケットの優先順位付けは難しい場合があります。インテリジェントな自動化を利用すれば、複数の要因に基づいて効率的にケースの優先順位付けを行えるので、最も重要な問題に先に対処しながら、優先順位の低いケースも放置されないようにすることができます。
顧客のさまざまな体験の例

ごく少数のベストプラクティスを順守すれば、ほとんどの企業はどんな問題にも対応できるカスタマーサポート戦略を構築できます。

サポートのレベルを定義する

カスタマーサポート戦略の根幹として、サポートの範囲をどこまでとするかを厳密に定義する必要があります。24 時間年中無休にするか、通常の営業時間内のみとするか。複数のタイムゾーンや多言語に対応した世界規模のサポートか、地域を限定したサポートか。サービスレベルをどう定義するか、言葉遣いのレベルはどうか、その順守状況をどう追跡するのか?

サポートのレベルは顧客のニーズと企業の能力に基づいて決める必要があります。また、その 2 つの要素は変化する可能性があるので注意しましょう。現時点ではフランス語のサポートは必要なくても、国際的な事業展開をしていけばいずれ必要になる日が来るかもしれません。

カスタマーサポートの主な機能

カスタマーサポート戦略を策定する際には、主な機能をいくつか定義する必要があります。初期段階でこれらに取り組むことで、策定がスムーズに進むとともに、常にポジティブなカスタマーエクスペリエンスを提供することができます。検討すべき主な機能は以下の通りです。

  • アプローチ
    カスタマーサポートへのアプローチについて考えてみましょう。1 対 1 の対話でエージェントが顧客をソリューションに導くことを重視するのか、顧客を情報提供リソースに転送するだけという包括的だが個別対応性の低いアプローチを取るのか。

    いずれのアプローチにもメリットとデメリットがあり、何が適切かは企業のビジネスと顧客層によって異なります。

  • 言葉遣い
    顧客とのコミュニケーションにおける口調や言葉遣いは、エクスペリエンス全体に大きな影響を与える可能性があります。エージェントは親切で知識豊富であるべきですが、どのくらい砕けた態度にするか、かしこまった態度にするかは、ブランドをどう見せたいかによって変わってきます。

  • 品質/スピード
    どの企業も最高品質のサポートをできるだけ速く提供するように努めるべきとはいえ、業界やオーディエンスによっては品質とスピードのいずれか一方がより重視されることもあります。

    策定の初期段階で、どちらがより重要かを決めておきましょう。もし品質の方が重要なら、少人数だがより熟練したサポートチームにすることで、包括的なソリューションを顧客に提供できるはずです。一方、迅速な対応と解決までの時間の短さを求める顧客層なら、大人数のチームにすることでニーズを満たせるでしょう。

    理想としては、知識豊富な熟練の人材ばかりの大規模なサポートチームにしたいところです。しかし、そんなチームを組めるようなリソースがない場合は、まずは品質かスピードのいずれかに優れたエクスペリエンスを提供することに集中し、それを自動化やその他のサポートツールで補完していきましょう。

  • 可用性
    サポートサービスの提供時間も決めなければいけません。従来の営業時間内のみとしますか?それとも、年中無休 24 時間で必ずサポートエージェントにつながるようにしますか?
  • プロセス
    カスタマーサポート部門自体が問題に直面することもあります。同時に、通常業務であっても、スムーズに行うには定義されたプロセスが必要になります。重要な決定の権限は誰にあるのかを含めて、緊急時と通常時のプロセスを定義することで、事業を拡大してもサポートチームの有効性を維持していくことができます。

クラス最高のカスタマーサポートを構築する方法

本来、カスタマーサポートはポジティブなカスタマーエクスペリエンスを促進するためのものです。そのやり方は顧客、製品・サービス、業界によって異なります。とはいえ、共通する部分は多いため、効果的なカスタマーサポート戦略のための 9 つのヒントを以下にまとめました。

  • 問い合わせ方法を明示する
    効果的なカスタマーサポートを提供するには、まず顧客側が企業に問い合わせる方法を知る必要があります。Web サイトの至るところにサポートオプションを明示し、すべての連絡先情報を常に最新のものにしておく必要があります。

  • 最初の基準値を設定する
    成功を正しく評価するためには、どんな状態から始めたかを知る必要があります。最初の基準値を設定する作業には、一流の競合他社をよく観察し参考にすることも含まれます。

  • 顧客中心の行動を奨励するパフォーマンス測定の確立
    顧客と直接やり取りをしない従業員もいるかと思います。しかし、ビジネスの成功にとって顧客こそが最も重要な要素だということを全員が理解しておく必要があります。すべての部門において顧客中心の行動を評価し報酬を与えることで、社内全体がより顧客中心の行動を取るようになるはずです。

  • サポートチームに適切なツールを使用させる
    企業の規模、顧客基盤の規模、そして製品やサービスの内容によっては、サポートチーム自体が多くのサポートを必要とする場合があります。その場合、カスタマーサービスソフトウェアやカスタマーサービス管理プラットフォームが非常に役立つリソースとなります。また、効果的な部門間連携を促進するツール (デジタルワークフローなど) では、カスタマーサポート以外のチームとつながることができます。

  • 適切な人材を採用する
    理想的なサポートチームとは、忍耐強く、気配りができて、コミュニケーション能力が高い人材で構成されたチームです。こうしたソフトスキルに優れた人材を可能な限り採用しましょう。さらに、採用した優秀な人材を自社につなぎとめるために、他社に劣らない報酬と明確な昇進機会を与えましょう。

  • 指針とポリシーを作成し明文化する
    何を期待されているのか、その期待に応えるにはどうすればいいのかをサポートチームが理解している必要があります。プロセス、目標、価値観などを明確にしておきましょう。

  • サポートチームに権限を付与する
    サポートチームに適切な人材を採用し、しっかりとした指針を設定しているなら、ことあるごとに経営陣のダブルチェックを受けさせる必要などまったくありません。チームに意思決定の権限を与えることは、問題の迅速な解決とカスタマーエクスペリエンス全体の改善につながります。

  • 顧客に最新情報を伝える
    時折、「サポート」に注力するあまり、「顧客」をおろそかにしてしまうことがあります。顧客と連絡を取り、現在の状況や問題解決のために何をしているかを随時知らせましょう。何か不具合があった場合は真っ先にサポートから顧客に連絡し、いつ頃解決できる見込みかを伝えましょう。

  • ソリューションの提供を急ぎ過ぎない
    サポートチームはサポート要求に迅速に応答するべきですが、事前に答えを用意しておける問題ばかりではありません。問題を調査し、実用的なソリューションを見つける時間を十分に確保し、その必要な時間について顧客にしっかりと納得してもらいましょう。

  • 従業員のモチベーションを高める
    電話やメールでのサポート対応は、同じことの繰り返しで報われない仕事だと感じる場合もあります。しかし、そう感じさせないことはできます。サポートチーム内の優れた成果を評価し、報酬を与えることで、チームはより顧客のニーズに気を配るようになるはずです。

  • パーソナライゼーションをおろそかにしない
    自動化はより迅速で正確なサービスの提供に役立ちますが、パーソナライズされたサポートに取って代わるものではありません。チャットボットやセルフサービスポータルでは解決できない複雑な問題の場合は、必ず顧客が人間のエージェントにアクセスできるようにしましょう。パーソナライゼーションは、自動応答や自動提案を顧客の特定のニーズに合わせるという形でも自動化を補完しています。

  • 顧客側だけでなく企業側の成功も報告する
    生データと顧客中心の測定基準では、大局的な影響がわかりづらい場合があります。カスタマーサポート戦略の全体的な影響を評価し、その成功を全社に共有しましょう。

  • 常に改善を続ける
    サポートチームはすべてのやり取りにおいて顧客基盤、製品、そしてそれらに関連した問題に関する貴重なデータを収集します。このデータを活用して、サポートの強化と製品の改善を行いましょう。よくある問題を特定すれば、全社的に対処できるようになります。

  • 大きな変化を進んで取り入れる
    企業として重点的に取り組む対象をカスタマーサポートに変更しようとすれば、反対の声があってもおかしくありません。しかし、大規模な改善を実現するには、大きな変化が必要なときがあります。従業員がカスタマーサポートに全力を注げるように支援しましょう。そうすれば、困難な変化は大幅な改善と将来の利益につながるはずです。

優れたカスタマーサポートへの道

実用的なカスタマーサポート戦略を確立できたら、次のステップに進むことを検討しましょう。ServiceNow カスタマーエンゲージメントホワイトペーパーで、自社のカスタマーサポートのレベルを確認してください。

カスタマーサポートは、表面上はネガティブなものに見えるかもしれません。顧客は製品やサービスの問題に直面しますし、解決のためにわざわざ時間を割いて企業に連絡を取ることになります。しかし本当は、カスタマーサポートは必要な指示やトラブルシューティングを提供するだけでなく、カスタマーエクスペリエンスのパーソナライゼーション、ビジネスを推進する人々とのポジティブな関係の構築、有益で実用的なフィードバックの生成の機会が得られるものです。言い換えれば、適切に計画し実行すれば、カスタマーサポートはポジティブなカスタマーエクスペリエンスを促進する貴重な手段になるということです。

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